岩手・山田町 NPOが給与未払い 「チェック機会 何度も」
2013.1.22 02:17
■町、収支報告書求めず 第三者委、対応の甘さ指摘
山田町が緊急雇用創出事業を委託したNPO法人「大雪(だいせつ)りばぁねっと」(北海道旭川市、岡田栄悟代表理事)が予算を使い切り、従業員に給与を支払わなかった問題で、町は21日、問題を検証する第三者委員会(委員長・宮健県中小企業診断士協会長)を開催した。全委員が「町は何度も、大雪をチェックする機会があった」と町の一連の対応の甘さを指摘。また、町が事前に大雪側の実績を示す収支報告書を求めていなかったことも新たに判明した。
◇
委員は宮氏のほか、植田真弘県立宮古短大学部長、横道二三男弁護士の計3人。宮委員長は解明のポイントとして、大雪を採用する際の町の初動態勢▽国や県、社会福祉協議会からの紹介の経緯▽リース会社の設立と大雪との関係▽使途不明金の洗い出し-を挙げた。
平成23年5月の大雪への事業委託開始時、岡田代表理事の履歴書の提示を受けていなかったことが判明しているが、委員会では新たに、それまでの大雪側の実績を示す収支報告書も求めていなかったことが分かった。
宮委員長によると、大雪の22年度の事業規模は約640万円だが、北海道に提出した貸借対照表の書き方がでたらめだった。「100倍以上の7億9千万円の事業を任せるのに、岡田代表理事の管理能力をだれも疑わなかったのか」(宮委員長)と疑問視した。
植田委員は町提供の資料に疑問点が24点もあるとしたうえで、「(契約や契約変更の際などに)町や県がどういう検査をしたのか」「検査でなぜ歯止めがかからなかったのか」と県の責任にも言及した。
大雪の入浴サービス事業について、「入浴施設の建設費がリース代名目で払われているのは、脱法行為ではないか」。町の調べで使途不明金は9600万円とされているが、「とてもそんなものでとどまらない。不明確なものだけでも、ざっと3億円ぐらいある」と指摘した。
会議後、宮委員長は「(震災直後の)大変な混乱のさなかだったことは理解するが、どうしようもなかったということにはならない。NPOや代表理事が信頼できるかどうか何度もチェックするチャンスはあった。委員会は問題点を明らかにして町民、県民に報告する義務がある」と述べた。
次回の委員会は2月初旬の見通しで、問題点の精査を行うが、必要があれば沼崎喜一前町長らの出席を求めて事情を聴く方針。18日に大雪との契約を解除した佐藤信逸(しんいつ)町長は要件が固まり次第、刑事告訴する方針を改めて示した。
MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/region/news/130122/iwt13012202170000-n1.htm