未払い金1億6500万円 山田のNPO
山田町の被災者らを緊急雇用していたNPO法人「大雪りばぁねっと。」(北海道旭川市)の賃金以外の未払い金が、少なくとも89件、1億6500万円あることがわかった。町が昨年12月に確認した。町はNPOへの追加委託料のための補正予算案を断念しており、未払い賃金同様、NPOが支払うめどが立っていない。
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12月のNPOへの集中検査で町が確認したところ、入浴施設などを建設した盛岡市の建設会社分が約1億円のほか、消耗品代、リース料、健康診断料、駐車場料金など雑多な支出が数多くあることが判明した。町によると、昨年12月末にNPOから業者へ連絡があり、今年1月になってから請求書を送った業者もあることから、未払い金の総額はさらに膨らむ可能性がある。
町商工会の業者への聞き取り調査によると、町内業者は10社、約1千万円。「10、11月ごろも注文があり、納品した」という業者もおり、NPOが町に資金の枯渇を打ち明ける昨年11月末ぎりぎりまでNPOは発注していたという。
NPOに支払い能力がないことから、未収金を抱える業者は、事業を委託した町の対応に関心を寄せている。「町民の理解が得られない」として町議会への補正予算案提出を見送った町だが、町商工会は昨年末、町に対して「特段の配慮」を求める要望書を出した。
町商工会の阿部幸栄会長によると、NPOは破産手続きもしていないし、資産も関連リース会社などの所有にしている可能性があり、差し押さえも容易でなく、「どうしたらいいのか」と話している。
問い合わせや要望を受けている町だが、「NPOと業者間の契約で、町が責任を負えることではない」(総務課)との立場。県警や弁護士から「正確かどうかわからないし、町が代わりに払う期待だけを高め、混乱する」と指摘されており、今のところ実態調査も見送っている。
(伊藤智章)