毎日新聞
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東日本大震災:山田、大槌病院再建 高台案に異論も 住民意見交換会で県、病床の削減も提示 /岩手
毎日新聞 1月20日(日)11時39分配信
被災した沿岸部の県立3病院の再建をめぐり、地元での住民意見交換会が19日始まり、県医療局が山田、大槌の両病院について、高台の具体的な候補地や病床削減の方針を提示した。山田町の住民からは「中心地から離れていて不便。震災前にあった場所で再建してほしい」と異論が相次いだ。県側は3月までに立地場所を決定する構えで、住民に不満が残ることも予想される。【安藤いく子】東日本大震災で高田、大槌の2病院は津波に襲われて損壊。山田病院は建物に大きな損壊はなかったものの、津波が押し寄せた。県は3病院すべてについて、高台移転を検討している。
この日は山田町と大槌町で意見交換会が開かれ、それぞれ住民約100人が参加した。山田町では、町が県に推薦した(1)山田中学校北側町有地(2)三陸縦貫道山田道路西側町有地(3)山田中学校北西側民有地--の3候補地が提示され、県の担当者は「早期再建とアクセスの良さから(1)が最有力」と述べた。
一部の住民は「高齢者が多く高台では通いにくい」「かさ上げをすれば以前と同じ場所でも安全」と3候補地に反対した。一方で「以前の場所では駐車場も狭く車で通うには不便」と高台移転に賛同する住民もいた。
住民グループ「山田町の地域医療を守る会」の会長、佐藤照彦さん(72)は「町は県に候補地を推薦する前に、住民に説明してほしかった。議会で説明するだけでは住民合意を形成できない」と苦言を呈した。県医療局の遠藤達雄局長は「中心地に近い所という意見も分かるが、想定外の災害で今後、被害が及ばない場所で考えたい」と理解を求めた。
大槌町での会合では、仮設小中学校付近の「寺野地区」が候補地として提示された。
また県は山田、大槌病院の病床数について、震災前の各60床から各50床に減らす方針も示した。「震災後の人口減や震災前の利用率を考慮した」という。
20日は高田病院の再建をめぐり、陸前高田市で住民意見交換会がある。県は地元市町と詰めながら、今年度内に3病院の再建場所や病院の規模を決める方針。来年度以降に施設設計、建設を進め、2016年度にも開院を目指すという。
1月20日朝刊