http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/iwate/news/20130124-OYT8T01284.htm?from=tw
山田町で被災者の緊急雇用創出事業を受託したNPO法人「大雪りばぁねっと」(北海道旭川市、岡田栄悟代表理事)が全従業員を解雇した問題で、同法人が運営していた無料浴場「御蔵の湯」の整備費について、県がいったん同事業の補助対象外との判断を示しながら、その後撤回し、事業費からの支出を追認していたことが24日、分かった。
◆「材料費」として支出追認
町の行政文書などによると、県は2012年4月、「御蔵の湯」が建設された11年度の事業報告書を検査した際、法人が計上した「御蔵の湯」整備費約4276万円は緊急雇用創出事業で認められない「建設・土木事業」に該当するとして、補助対象外との判断を町に示した。
町は法人に対する返還請求を検討する必要に迫られたが、12年5月上旬頃、県の窓口となっている沿岸広域振興局宮古地域振興センター側から「(補助金の)交付契約に沿った形での処理を進めよう」との意向が示された。最終的に、建設の「材料費」として支出が追認された。
「御蔵の湯」は、法人が盛岡市の建設会社に約1億3330万円で発注し、建設されたが、法人関係者が代表を務めるリース会社「オール・ブリッジ」(石川県加賀市)の所有とされている。法人が今年度の事業費を使い切って事業を休止して以降、「御蔵の湯」のリースについて法人とオール社との契約に実態があったのか問題視されている。
県と町は、リースの内容について細かく質疑している。財産取得などを禁じた緊急雇用創出事業の規定をかいくぐるために、ペーパー会社ともいえるオール社を介して事業費を支出する仕組みを、県が早期に把握し、黙認していた可能性も浮上した。
法人のずさんな経理処理を巡っては、同センターが2011年12月と12年3月に改善を指導していたことが明らかになっている。
県雇用対策・労働室の高橋宏弥雇用対策課長は「当時のやりとりは確認しきれていないが、できるだけ補助対象に含められるよう考えた結果と推測される。現時点で振り返れば、対応に問題があった可能性はある」としている。
(2013年1月25日 読売新聞)