町監査委員も改善指示 山田町NPO問題

朝日新聞 岩手版 2013/01/29

山田町の被災者らを緊急雇用していたNPO法人「大雪りばぁねっと。」の資金枯渇問題で28日、2011年度末に町監査委員が町に対し、契約書通りの分割支払いや、次年度以降の随意契約見直しを迫っていたことが分かった。町側は契約書の文言を変えるなどしただけで、12年度も随意契約しており、問題を再検討する機会を逸した。
町監査委員が、12年3月29日付で町長あてに出した監査報告によると、同年2月6日、11年度の関係書類を調べ、「おおむね良好」とし、随意契約も震災対応で「やむを得なかった」と認めている。
ただ、「次年度以降は、公平性、透明性を確保するため、事業の履行が可能な団体が他にいないか等、情報収集に努められたい」と注文をつけた。地方自治法の施行令で市町村の50万円を超す委託契約は、入札が基本とされているからだ。
また、町とNPOの契約書では「四半期ごとに委託料の前金払いを請求できる」とあるのに、11年度は契約変更のたびにNPOが請求、町はそのたび支払っており、結局8カ月で6回支払い、整合性がとれていないこと、公共職業安定所での募集など委託業務上必要な記載がされていないことなども指摘した。
しかし、町は同月22日、監査委員の講評の場に、契約書の前金払いの条文から「四半期毎に」の5文字を削除し、前払い時期の制限を無くしたり、職安での募集を記入したりした契約書を示すなどしただけだった。支払時期は実態に合わせた文言修正だが、町総務課によると、後から契約書を変更するのは異例のことだという。
監査報告書が出された直後の4月1日、NPOと結んだ12年度契約も随意契約で、前金払いの時期制限は最初から外した。NPO以外と契約すると、「被災者支援に著しい支障をきたす」とする理由書も添付し、随契を正当化した。
監査委員は、町議と民間出身者の2人。委員の稲川勝憲町議は「国の100%補助事業で、会計検査院の調査対象になる可能性もあり、公平性、透明性を確保するよう助言したつもりだ。ただ、文書だけで審査しており、『流用』などは分からなかった」と話す。

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